できない夫は一年戦争を駆け抜けるようです 支援 中東方面某所における偶発的戦闘について  #2(支援SS レックス・インデックス再戦)

253名無しさん@狐板2015/03/29(日) 00:16:56 ID:jJRBuafW
やっぱりダイスって糞だわ(顔を覆う)

あ、日曜の17:00頃に#2やります。



255名無しさん@狐板2015/03/29(日) 19:33:59 ID:jJRBuafW
19:40から支援SS投稿します



257名無しさん@狐板2015/03/29(日) 19:41:04 ID:jJRBuafW
(4レスお借りします)

 中東からアジアへと向かう荒野の最中、三機のMSがモノアイを数十キロ先の陸上戦艦へと向ける。
 備え付けられた各種砲塔は確実にこちらへと向いている。だがそれだけだ、護衛機は1機も出てこない。
「ふむ……反応が薄い……。普段ならここであの黒いのが飛び出してくるはずだけど……」
 地球侵攻軍総司令官ガルマ・ザビ少将直属のエース部隊長の風見幽香大尉だ。その統率は3であった。
「もうオデッサとマドラスとの前線間近、もしかしたら向こうの哨戒中の人たちと鉢合わせているのかもしれないわねー」
 棒読みの戯言であるが、その目に油断はない。
「つーか姉御。本当に向こうにあのMSくれてやんのかよ?
ガルマの大将とアタシらが追いかけてんのは、まさに「ソレ」なんだろう?」
 同じくマシンガンを油断なく構えたレヴィ。その胸は豊満であった。

「名より実ってやつよ。これでオデッサの連中には大きな貸しが一つできたわけだしね?」
 
「ったく七面倒臭いわね……。考えたくはないけど、むこうがあの“黒いの”を逃したらどうする気なのかしらね?」
 同じく風見隊の一員である麦野が舌打ちをした。

「あははー、ソレはないない。
こっちはソンネン少佐とヒルドルブも貸し出したのよ? 私らに頭を下げてまで盤面を整えたのにキングを逃がしました、じゃ“エンドゲームスタディ”と名乗れないわよ」
 エンドゲームスタディ、所謂、詰めチェスだ。彼らが挑む拠点は必ず落とす陥陣営、ベルファストの方面軍司令部を無力化させた功績は地球連邦にすら響いている。
「だけどよ?連中の中にロジャー・バートレットがいたらどうするんだ?」

「ゲシュタポ引き連れて探し出せばいいでしょう?
ダメだったら?肉袋になるだけよ」

「アイ、アイ。姉御、本当にあの「ホワイトカラー」に惚れ込んでるんだな」
 レヴィが愉快そうに笑った。
「はいはい、お喋りは後、一分でカタをつけるわよ。戦艦をちゃっちゃと片付けて
“グランドマスター”の指す一局を見に行きましょうか」
 そして猟犬たちは獲物へと襲い掛かる。



 戦況報告書 中東方面某所における偶発的戦闘について#2



ttps://www.youtube.com/watch?v=8iQ7JMHjEv0


 渓谷の底、その暗い地の底を黒いMSが駆け、そしてそれを追ってレックスのザクⅠスナイパーが追う。
『感じます……。あの時の貴方ですね』
インデックスはいまだ“戻らない”このままでは――
「待つんだインデックス! 敵が迫ってきているのに一人で行動するんじゃない!!」
レックスの通信にインデックスはようやく応答した。
「その敵が接近していますレックス、ベルファストで交戦した部隊です、援護をお願いします」

「あの“青角”部隊以外にもまだこの付近に潜んでいるのか!」

『肯定します。ベルファスト基地内で迎撃した者達と思われます』
ベルファスト――レックスの苦い記憶が蘇る、そうこの旅路の始まりはあの部隊との戦いだった――
「分かった。これより俺はキミの援護に入る。ココを片付けて、皆のところに早く戻ろう……」
 レックスの押し殺していた痛みが焦燥と共に蘇る。単なるこれまでの部隊が増強をうけたわけではない、ならば――分断作戦にはまったということだ。
「各個撃破でいくしかないか――何とか持ちこたえてくれよ皆」
『――――……………』
レックスの焦燥を感じ取りながらもインデックスは“感覚”を広げるべく意識を集中させる。
――どこから……何処からくる?貴方はどこにいるの?
 感覚は自在に“飛ぶ”何もかもを感じる事ができる全能感、だがそれを頭から押さえつけるような“重圧”が文字通り空から降ってきた。
『貴方の直ぐ側に居るわよ』
 自分と同じ少女の“声”、だが――“彼女”ではない!ならば!!

『高台! 上からッ!!レックス!!左前方の上です!』
 レックス達が見たのは最新鋭のMS“スカート付き”だった。
月光を浴びながらモノアイをギョロリと動かし、二機のMSを睥睨する。
 

「人型が二機。うち一機は我軍のザクタイプの改修機。
できない夫さんの戦闘データ内にあったライフル装備型……」
 メアリは静かに戦意を燃やす。“観る”だけでもわかる、あの黒いMSに乗っている“モノ”は恐るべき使い手だ、横にいる改修機のパイロットとて一流であるが、それが霞んでしまう程に。
 だからこそ――勝たねばならない。できない夫の為にも、仲間の為にも、自分の為にも。

一方、インデックスもまたメアリを見て戦慄していた。ベルファストで相対した時とは桁違いのプレッシャー!

――このプレッシャー!!以前の敵とは比較にならない!敵は間違いなくエース!!

 張りつめた静寂を打ち破ったのはレックスであった、彼は即座に膝撃体勢をとる!
『あんな高所に陣取って!狙ってくれって言っているようなものじゃないか!』

『――そこだっ!』
 高温のビームがドムを射抜かんとする!いかなドムの装甲といえど直撃すれば危険!

「――――…………」
 メアリは意識を集中させ、ドムの片足をふみ下ろさせた。
岩が崩れ――ビームの射線を防ぎ、その熱量を以て溶け去った。
 ドムは悠然と動かない、無慈悲なまでに全能的な光景。

『い、岩を崩してそれに当てさせた!?たったそれだけで俺の狙撃を防いだのかッ!!』

『敵はただ足踏みしただけ……それだけで、ビーム兵器を防いだ』
 インデックスもまた驚愕をあらわにした。
『瞬時にそれだけの判断と行動に移すだけの技量と度胸……。
相手はまさしく「エース」というわけかッ!!』
 そのドムの後方から更に2機のMSが姿を現す、赤と白のMSと黒と白のMSいずれもチェスのエンブレムを掲げている。

「連邦軍兵士に告ぐ。こちらMSパイロット、キセイデ・できない夫大尉」

『オープン回線?一体何を言うつもりだ?』

 できない夫はほんの一瞬であるが思案した。既に盤面は動いている。
言葉の投げ合いも戦術の内だ。

「貴殿らは完全に包囲されている。武装を解除し、投降しなさい。
南極条約にのっとり、貴殿らの待遇は保証しよう。もし非戦闘員がいるなら申し出て欲しい 、安全な場所に送り届ける」

『―――――有難い申し出だがソレは出来ない。こちらは特務中でね……」
 レックスは静かに答えた。
「ひとつ……。ビッグトレーにエース部隊が攻撃を行っている。 護衛のMSはついているのかな?
――もう一度だけ言おう。できれば、投降してくれないかな?」

『俺もあいつらも全て承知のうえだ。もとより引けないからこうしている』
 ぶれない、戸惑いもみせない、“黒いMS”とそのパイロットとは別種の脅威だ。
 ――偵察は終えた、後は戦闘あるのみ。
「――君たちに対する悪意も憎悪もない。だが、自分は軍人で、これは戦争だ。
恨んでくれてかまわない」
 何度も――何度も夢でも0と1の世界でも繰り返してきた戦が――遂に現実で行われる、もう繰り返さない、最後の一度だ。目を閉じ、モノアイ越しの光景もHUDに表示される情報も追い出す。
 ただ、己の内心と対峙する、恐怖、緊張、感傷が渦巻くそれと。

 ――勝つのですよ。

 囁くような声が“聞こえた”それで十分だった。

「カレン、メアリ。眼前のMSを適性勢力と認定攻撃を開始する」
 目を開く。
「いくぞ! 二人共!」
                             1/4



258名無しさん@狐板2015/03/29(日) 19:42:55 ID:jJRBuafW
「ビームライフルで牽制しつつ!あの一番プレッシャーを放っているのを
仕留めます!!」

「二人共散開! 手筈通りに!」
 三機は散開し、黒いMSを囲むように――だが不規則に動く。
「動きに法則性が見られない!?これでは予測が……ッ」
 相手の意図が読めず、インデックスが逡巡する、
「先手を打つ!」
メアリはその瞬間を逃さず、常人離れした早撃ちでジャイアント・バズを眼前の敵に撃ち込む
「遅い」
インデックスは素早く旋回して回避!
「かかった!」カレンはで既に敵の着地点を狙い突撃!
ドムの鈍重な外見を裏切る驚異的速度!
「無駄です」
カレンのヒート剣をビームサーベルは易々と受け止め――盾を振るった。

「――ッ ドムでも!?」
文字通り重MSであるドムが片手で弾き飛ばされる。

弾き飛ばしたカレンに対し追撃を加えんとビームライフルを構えるが
「そうはいかんさ」
油断なく戦況を観察していたできない夫がマシンガンで弾幕を張る!ほぼ同時にマシンガンに持ち替えたメアリもインデックスに向けて射撃!油断なく回避を行うインデックス、その間にカレンも態勢を立て直し戦線復帰!
「大丈夫、機体も損傷なし!まだ全然やれる!」

その時――三人の戦いの後方で機を伺っていたドムが黒いMSの脇を駆け抜けた。

「邪魔はさせない!」
 できない夫は高速ホバー移動を行いながらザクⅠスナイパーへバズーカ砲撃をしかける。
「クッ!」
 即座にレックスは最小限の動きで回避!そのまま後方へと距離を採ろうとするが御模様に距離がとれぬ!

「悪いが、旧ザクならば――ッ!」

 なんと――レックスはヒート・ホークを抜き……逆にできない夫へと襲い掛かったのだ!
なんというMSの基礎スペックを無視した暴挙!
「踏み込みが甘い!」
 だがレックスの本領は格闘戦にある、無論、射撃とて不得手というわけではない、だが航空機だろうと実技だろうと近距離の駆け引きこそが彼の最も得意とする戦いであった。

「なっ――」
 できない夫は素早く反応し後退し、互いにバズーカとライフルを構え、静止した。

レックスは攻めずにじりじりと間合いを測る、この扱いの難しい機体でどう動くべきか。インデックスの言葉の通りベルファストで戦った部隊の指揮官であるならば、その立ち回りは非常に厄介だが、純粋な操縦技術はさほどでもない、その本領は部隊指揮だ。しかし、MS戦闘とはそれだけで推し量れるほど単純なものではないのだ。単一の側面だけを見れば、即ち死ぬだろう。

 インデックスとメアリ達の戦闘から1kmも離れていないというのにまるで隔絶したかのような静寂――地響きが起こり、メアリが踏み崩した崖から再び岩が崩れ……両者が動いた!

ZZZOOOM!先に動いたのはできない夫だ!ツイマッド社製最新鋭ホバーを利用し、恐るべき超質量による体当たりを再度、仕掛ける!

レックスは巧みな体裁きをMSで再現し、その突進を回避。立て膝姿勢をとり、敵機を通り過ぎながらも全力疾走している できない夫めがけビームライフルを放とうとし――舌打ちをした。

「……これも計算の内か!」
長銃身の試作型ビームライフルでは曲がりくねった渓谷で狙撃は困難。後方への突破を許した形になる、挟撃を避けるべきか――否

「ならば!」
 レックスは再び状況判断を下す!レックスは崖上を目指しMSを跳躍させる!
「――捉えた!」

「っと!」
ハクが1秒前にいた場所を光線が射抜いた。
「ええ、ええ、そりゃ、一人だけ安全圏なんてわけにはいかないわよね」
 キャノン砲を構えなおし再びプロトガンダムを狙う、あくまで彼女の役割は支援射撃だ。

インデックスは巧みに武器を持ち替え、二人を圧倒し始める。相手の連携に順応し始めているのだ。何たる対応力か!
「今なら!」カレンが再びヒートサーベルを抜刀し突撃!
「無駄です!」だがインデックスは再び片手で鍔迫り合いに持ち込み
「そこッ!」片手でビームライフルを連射!
援護に入ろうとしたメアリを牽制!
「――ッ!?」
更に連射!なんたる理不尽な火力!そしてその正確性!それでもメアリは回避に成功!
これぞジオンのエースである
「しまった!」
 だが――その回避行動にカレンが孤立、インデックスの誘導により精密な連携が乱れた!

「貴方たちを倒せば!」
 インデックスは再び出力差でドムを突き放し、そしてライフルを抜き放った!

「カレン!」
メアリは即座に岸壁にバズーカ砲撃!崩壊した岩石がカレン機へと襲い掛かる!よもや、フレンドリーファイアーか!?
 否!カレンはそれと同時に後方に回避行動!そして落石によりビームは僅かに減衰!
 だが――それでもなお被弾!インデックスの正確無比な射撃からは完全には逃れられぬ!

「――ッ!」
 カレン機は落石による砂埃にまみれ視認不可!

『損傷報告!』
 できない夫から強制的に通信回線が開かれた。システムリンクが可能とした即時リスク管理!
「装甲損傷!各種機能に損傷なし!」

『了解!気をつけろ!進捗自体は順調だ、無茶はしないでくれ!』
 同時に作戦要綱図が転送される。
「「了解!」」
                               2/4  



259名無しさん@狐板2015/03/29(日) 19:44:57 ID:jJRBuafW
 ――その数十秒前
「ええいっ!」
できない夫は状況判断!ここで狙撃兵を抑え込まなければ危険!
レックスの居る崖上に向けバズーカ砲撃!ほぼ同時にHUDにレッドアラート!
“2番機損傷な”と半透明の文字が躍る!できない夫は即座に片手で高速タイピングを開始!そして管理者権限により強制的にカレンとの通信回線を開く!そして高速タイピングを開始!
「損傷報告!」
『装甲損傷!各種機能に被害なし!』
 作戦状況図を基に事前に用意した無数の作戦要綱図から一つを選択、各機に転送する。
「了解!気をつけろ!マシンガンを使え!進捗自体は順調だ、無茶はしないでくれ!」
 そして今度はザクキャノンを駆るハクとの回線を開く。
『また無茶ぶりするねー、これ失敗したらメアリちゃんに怒られるよ』
 相も変らぬ陽性の声ができない夫のコックピットに響いた。
『じゃあ最後の1押しと行きますか!』

 レックスは油断なく狙撃点から着地し、できない夫と再び相対する。
いまだに両者ともに無傷、そしてその行動目的はどちらも明確であった故に――再び先に動いたのはできない夫だった!

 「先に潰す!」できない夫はジャイアント・バズで砲撃!
 CABOOMM!砲弾はレックス機を通り過ぎ岸壁を抉る!これは失敗か!?
おぉ、だがレックスはそれにより、動きを硬直させたではないか!
 そう、そこはレックスが次に狙撃を行おうとしたポイントだ!
 レックスは後方に跳び、そしてビーム射撃!
だが、できない夫はレックスの反撃を回避!大型ライフルでは中距離では射線を読むことは難しくはないのだ!そして同時にハクに砲撃ポイント指示!
「ええい!」
レックスは再び狙撃点を破壊されたことに舌打ちをする。
この機体のビーム兵器はあくまで試作兵器、迂闊に乱発はできぬ!
だが、高性能モノアイはその砲火を捉えている。
「そこか!」レックスは再び戦術を構築する。
 ――敵はとことん理詰めで戦っている、ならば!

 CABOOMM!!ドムのバズーカ弾を躱し、ヒートホーク抜刀!
「おっと、それは困るな」
BRATATTATATATA!弾幕を張りながらできない夫は後退するが
「甘い!」レックスは崩れた岩石を足場に跳躍し――
「グワーッ!」
一瞬にしてできない夫機は岸壁に叩きつけられる!
「俺を踏み台にッ!」
 そう、エースの無茶で機体の性能差と相手の読みを覆すのみ!カラテだ!

更に高度を上げ、メアリの居た崖上へとレックスは駆け上がり、射撃体勢をとった。
「――倒す必要はない、一瞬でよかったんだ」

『指揮官機に損傷、管理者権限委譲プロトコル発動可能性』
 メアリのHUDに突如、けして出てはならぬ表示が現れた。
「できない夫さん!?」
「――隊長?」
 なんのことはない、指揮官が孤立して後衛を相手にする、それでもなお揺るがぬ統制、ならば――仕組みがある、それを逆に利用すればいい。
 一瞬、ほんの一瞬だ、並の兵達ならば気づきもしないわずかな瞬間、彼女達の意識は逸れてしまった。

『メアリ!俺は無事だ!』

『――間に合って!!』
 できない夫とハクの焦燥に満ちた声が響く。

「その隙を突かせてもらう!インデックス!合わせてくれ!」
レックスは再び狙撃を行い、そしてキャノンと猛撃をかいくぐりインデックスと合流すべく駆ける。
――2機の砲撃は彼に集中していた、ならばもうインデックスの戦場の勝利は決まったものだ。

「しまっ――」
 乱された意識と連携、そしてカレン機の損傷、それらは致命的な隙を産みだしてしまった

「とった!!これで!貴方たちに勝ち!皆を助け出します!」
 だが――できない夫は最後の致命打をはなつ、オープン回線、そしてデータ送信開始。
時間を稼げ、これが最終段階だ。
『あぁそうだね4対2では君達の勝ちだ。
それは認めざるをえない……だけど……それだけだ』

「負け惜しみを!」

『負け惜しみ?違うとも、勝利の確信さ。なぜ俺達がたった2機のMSを相手に数の利捨てて散開したと思う?』
        
『エースが二人に後衛のMSが1機。
成程、充実した戦力をぶつけてなお届かない。
それもまた予測の内、君達が戦ってきたのもエース部隊に後衛のモビルタンク1機だ。
君の得意とする盤面だろうから、だけど――』
 できない夫は油断なく硬直した盤面の最後の詰め、一手を指す、
『それだけが――君の盤面だったんだ」
 HUDに表示されている進捗バーが完了をしめし、着弾点データが表示される。後方支援部隊から回線が開かれた。
『受信データフィードバック完了、予想着弾点データ送信済み、いつでもいけるぜ、ASAP?』
 油断なく監視をつづけながらできない夫は同時に高速タイピングで予想着弾点データを僚機に送信、そして――

「一流のエースとの格闘戦でもなく、一流の戦車乗りの狙撃でもない。
殺気のない超遠距離からの支援砲撃……キミは受けたことはあるかい?」
 同時に通信回線にタイピング応答!これでチェックメイトだ!
『ASAP、支援砲撃を開始してくれ!』

『重点、退避急げよ』
 そして炎の嵐が到来した。
                                  3/4



260名無しさん@狐板2015/03/29(日) 19:46:47 ID:jJRBuafW
KABOOM!!KABOOM!!次々とマゼラアタックの175mm砲から発射された砲弾が降り注ぐ!
いかに機動力に優れたMSといえども地上兵器!渓谷地帯の隘路を利用されてはこの面制圧砲撃を防ぐことは実際不可能に近い!凄まじい熱!爆風による姿勢制御の困難!

レックスは、白い光の小爆発によって少しずつ視界が削り取られてゆくのを感じながらもひたすらに砲撃の中心地から遠ざかろうと機体を動かす。メインモニターはただ白光に満ち、コックピットはアラートに満ち――機体が安定する――安定する?

「――インデックス!?」

『早く退避を!この機体とシールドでも爆風は防げません!』
 インデックスからの通信にレックスは即座に頷いた。
「すまない!」
 見捨てるわけではない、軍人としてのレックスの状況判断だ。
幾らビーム兵器を搭載していようと所詮、母体は鹵獲機のザク1だ。
最新鋭機のガンダムとは悪い意味で物が違う。

『――ッ』
 インデックスの呻き声に内心の痛みを押し殺し、辛うじてレックスは退避に成功した。

 やがて永遠にも思える砲撃がやむ。辺り一面の大地は掘り起こされ、砂煙が立ち込め、数分前とはまるで別の世界のようだった。
「~~~~っ!いった、い……んだよ」
 インデックスが先程までと異なる年相応の幼い声を発した。
「あ、あれ?ここは? 私はなんでMSのコックピットに?」

『無事か、インデックス!! 生きていたら返事をしろ!』
 レックスは慌ててインデックスと回線を繋ぐ。
「レックス?ここは何処なの?なんで私はMSのコックピットの中にいるの?」

 レックスは訝しんだ、先程までの変貌、そして記憶の喪失。1か月もの旅路の中でもそのような事は――否、今は関係がない、重要なのは彼女を守る事だ。

『戦いの最中で良いのを貰ったんだ。多分そのせいだろう』

「戦いって一体なんの――――ッ!?」
 アンブッシュ!!赤いドムが戦塵の中から襲い掛かる!
『ちぃ!今のを避けるか!』
 カレンの鋭い一撃!だがそれをインデックスは躱した。
「レックス!今がどういう状況下説明がほしいかも!」
 ――身を守るセンスは今までと同じ、ならば――
 レックスは覚悟を決める、そうするしかない、あの時、トレーを出た時からこうなるのだろうとどこかで確信していた。

「――レックス?」
 レックスは答えず、最大出力でビームを放つ

『この程度!』
 2機はなんなく躱す!だが――それで最短でこの殺し間からの脱出具へ道は開いた。

『平たく言えば劣勢の極みだ。だけど今、敵の隊列を崩した!この隙間から逃げるんだ!』

「れ、レックス!?何言ってるの?そんなコトできるわけないんだよ!」

『問題ない!キミは早く、この戦域から離脱するんだ!』

「だめだよ!そんなことしたらレックスが死んじゃう」
 “今の”インデックスでもわかる、レックスの機体は無傷ではない、そして――敵は――

『大丈夫……俺は死なないよ。約束したじゃないか。
一緒にマドラスに行こうって。俺はその約束を果たすまで死なないさ』

『行ってくれ! インデックス!俺を嘘つきにさせないでくれ!!』

「~~~~~ッッ!!
絶対!絶対! 死んだりしたらダメなんだよ!!」
 インデックスは駆けた、弾をかいくぐり、先へ、先へ、レックスは久々に何の憂いもなく笑みを浮かべた

 3機のドムは油断なく、敬意をこめてマシンガンを構えた。
レックスもまた、ライフルを構える。

BLATATATATATATA!圧倒的な弾幕!
ライフルは発射する間もなく損傷!即座にパージ!
跳躍。疾走。被弾。損傷。先程の砲撃によるダメージから更に機体の損傷は広がっていく。
壮絶な覚悟と義務感に突き動かされながらもレックスの目は澄み、その笑みは勝利を確信したかのように穏やかであった。
「これで、あいつらにも顔向けできるな」

岸壁を蹴り、跳んだ、一秒でも長く時間を稼ぎ、インデックスを守るために。
脚部関節損傷のアラート!長くはもたない!着地し、ヒートホークを抜き放った。

『隊長!』
 赤いスカート付きが指揮官機の前にでる!ヒート剣を抜いた。
「……そこだ!」
 片腕を振りぬく、指揮官機ではなく、メアリへとヒートホークが飛ぶ。
『メアリ!』

『大丈夫です』
メアリはあっさりと最後の武器を撃ち落した。
そして強化対MS弾がザクスナイパーの左腕を根元から抉り飛ばす!
 だが――この瞬間まで3機とも動いていない。それだけで十分だった、彼が死ぬには。
「インデックス!行け!マドラスへ!」
巨人はついに地に伏す!
「俺たちの――勝ちだ!」
ヒート剣の刀身がメインモニター一面に広がる。
「アティ……ごめん」レックスは小さくつぶやき、笑った。

「あ……あぁ……」
 レックスは死んだ、インデックスはそれを識った。あの悪夢の日から自分を戦いに駆り立て、そして守り続けてきた大人が、灰燼に帰して無くなったことを……そして彼女が帰る場所ももはや存在しない事も、インデックスという少女は一人だった
……インデックスは自分が軋む音を感じる。レックスに託されたものも、ベルファストで背負ったものもあまりに重い。彼女は精神を落ち着け、あたりの様子を伺った。前方には今まで幾度も戦ってきた部隊の一人、砲撃手がいる、油断のならぬ達人だ。
そして後方にはあの優しい、だがけして弱くない人が仲間を率いて自分を追っている。
だがそうした感覚とは無関係に、この渓谷は先程までの砲撃の嵐が嘘であるかのように不気味なほどの死の静寂が支配している。
「レッ……クス……」
レックスはもういない。
「みんな……」
トレーも、帰るべき場所を守っていた人たちも――居ない。

 彼女は一人だった。

 月はただ諸行無常を謳うように蒼白い光で戦場を照らしていた。
                                    4/4
 #2終わり、#3へ続く。



261名無しさん@狐板2015/03/29(日) 19:48:14 ID:jJRBuafW
最後の最後にケジメ案件であった。

以上です、次回の投稿予定は4/1あたりに予告しますです。

本当に好き勝手やって原型がないですね?すまんな、本当にすまん。


262太眉 ◆BSVL8zPtdg2015/03/29(日) 20:25:21 ID:yoqaXgN6
おぉ……なんとう忍殺めいたアトモスフィア!
しかも対プロトガンダム戦を完全補完して頂けるとは……
特にインデックスのレックスとその仲間たちを失った時の喪失感と
悲しみの描写がグッと心に来ました。

SS支援して頂いて本当にありがとうござます


263名無しさん@狐板2015/03/30(月) 08:24:49 ID:FD2KOnJv
おつー
面白かったよー
次方の意味でう


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支援SSだとザクスナをプロトと合流させてマゼラの砲撃で仕留めたのか
てかレックスが主役じゃないか!
[ 2015/04/16 17:46 ] [ 編集 ]

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