できない夫は一年戦争を駆け抜けるようです 支援 中東方面某所における偶発的戦闘について  #1(支援SS レックス・インデックス再戦)

237名無しさん@狐板2015/03/22(日) 17:36:18 ID:Dk+7x0ZQ
22時頃に予定しておりますです。

長くなる(予定)なので三分割されており 今回は#1を投稿します。

色々と好き勝手やりすぎてるし低クオリティですが御時間のある方はどうぞ


238太眉 ◆BSVL8zPtdg2015/03/22(日) 18:04:20 ID:uZB6E3KG
了解ですー
ぐぬぬ……投下時間はすでに就寝していますので
感想は後日となっていまいます、申し訳ありません。


239名無しさん@狐板2015/03/22(日) 18:08:55 ID:Dk+7x0ZQ
ほむほむ、じゃあ21時頃にしましょうか。

誤字をなおしたりします


240太眉 ◆BSVL8zPtdg2015/03/22(日) 18:23:37 ID:uZB6E3KG
くくく……私の活動時間停止時間は20:00です。
ですので、お急ぎにならずとも大丈夫ですー


242太眉 ◆BSVL8zPtdg2015/03/22(日) 18:43:46 ID:uZB6E3KG
備えよう……



246名無しさん@狐板2015/03/22(日) 19:45:40 ID:Dk+7x0ZQ
(3レスほどお借りします)

オデッサ基地――その占領地域は膨大な地下資源産出量を誇り、ユーラシア大陸最前線を統括する方面軍司令部が設置されている、ジオン軍最重要軍事拠点の一つである。
そのオデッサ基地のレーダーサイトを管理する通信管制室は24時間体制で稼働し続けている。
「ん……まだ繋がらない……?」
 そこに努めるオペレーターの一人がいぶかし気に呟いた。
最前線のレーダー情報を表示させるが最前線となるとミノフスキー粒子散布濃度が濃く、ノイズだらけで役に立つかというと怪しいものだ。
「――戦闘濃度散布区域にでも入ったのかな?」

「どうした?」
管制担当将校が歩み寄った。

「中東方面に偵察にでているルッグン隊からの定時報告が遅れています。
こちらからの呼出にも応答がありません、通信途絶インシデントです」
 中東方面と言えばマドラス基地を根拠地とする地球連邦アジア方面軍との最前線である。

「通信途絶!?」
 担当将校の眉間にひびが入ったのに気付いたオペレーターが慌てて言葉をつづける。
「ミノフスキー散布重点区域に入ってしまったのだとしたらこの位の遅れは――」
 だが担当将校は最後まで彼の言葉を聞くことなく雷を落とした。
「何かあってからでは遅いぞ、君!座標点の割出しを急げ!!」

「お待ちください――解析完了!」
 オペレーターの言葉とほぼ同時にメインモニターに新たな光点が表示される。
主戦場からは外れた渓谷地帯付近だ。
「でかした!近場で展開している部隊はあるか!?」

「いえ、制空権内ですから航空機による哨戒程度ですが――」
 オペレーターが物理タイピングを続け、さらに情報を表示させる。
「――第501大隊が通信途絶点付近を哨戒する任務を受けております、当然あの“エンドゲームスタディ”小隊も」
 だがエース部隊の名前が出たとたんにオペレーターの予想に反して上官の眉間の罅に加えて口に苦虫が飛びこんだ。
「なんだと――」

 担当将校は慌てて司令席の端末に駆け寄ろうとし――慌てて振り向き、言った。
「君はそこに居ろ!機密だ!」
 指揮官コードを入力し、表示された機密情報とメインモニターを素早く見比べる。
「やはりそういう事になるか……」
 そしてオペレーターを睨み付け、通信端末をとった。
「ヌケド参謀長殿を頼む、はい、はい、お忙しい中失礼いたします、ハイ、大変お世話になっております――例の大隊が哨戒任務についてですが――ハイ、ハイ――」
 ディスプレイに表示された移動する光点を睨み付け将校は通話を続ける。
「ハイ、例の案件の予想脱出ルートと照らし合わせますと、ハイ、ハイ、確証はありませんが――」


 戦況報告書 中東方面某所における偶発的戦闘について


 それとほぼ同時刻、第五○一大隊 第1MS小隊“エンドゲームスタディ”最古参の曹長……などという肩書を感じさせない整った顔立ちを向け、紅月カレンは口を開いた。

「あのさ、隊長」
 
「一応これ建前だと哨戒任務のはずよね?ただの哨戒任務にガウなんて使っていていいのかしら?」
 
ガウ級攻撃空母――重武装を有したMS用航空母艦である。単なる哨戒任務で使う
ような機体ではない。

「いいんだよ、それだけの物資と準備がないと不安な相手なんだから」
 答えるのはキセイデ・できない夫大尉、ジオン軍オデッサ方面軍の一角をなすエース部隊“エンドゲームスタディ”の指揮官である。
 彼らが現在受けている任務は連邦軍アジア方面軍との前線付近の哨戒である――連邦軍の試作MSとその護衛であるビッグトレー部隊の移動予測ルートと重複している事や、攻撃空母だけでなくマゼラアタック部隊が同行していることからその真意は推して知るべしであるが

「それで、隊長? いったいどういう作戦で連邦のMSを倒すつもりでいるのよ?」

「あぁ、そのことなんだけど今回、やつとやり合う編成は――――」
 できない夫は目の前の四人の部下を見る。カレン、メアリ、ハク、そして次元。

「出撃するのは、メアリ」
 “エンドゲームスタディ”の単騎最高戦力であるメアリ、最初のシミュレートであれば彼女を他の長射程支援機で支援し、一気に勝負をつける予定であった。
「了解です、できない夫さん」
 だが――できない夫は笑みを浮かべてカレンに向き直る。
「カレン、キミにも出てもらいたい」

「え? 私も?……うん、分かった……」
 彼女たちが知る当初の構想では前衛はトップエースのメアリが敵MSの拘束に専念し、大量の支援機を投入して遠距離からの攻撃で消耗をねらうという手順だった筈だ。

「そして最後に出撃するのは 」


「私かー。ま、三機編成で行くのならば、いつもの面子ですな」
 ハクがこきこきと首を鳴らしながら言うが――

「いいえ、私です」
 できない夫は眉ひとつ動かさずに返答した。

「そうそうわた………え?
あの、司令室に居ても心は最前線で共に戦うとか、そういうアレじゃなくて?」

「違います」

「え、じゃあ私は?」

「ハクさんにはザクキャノンで支援してもらいます。
――次元は悪いけど今回は司令部に詰めていてくれ」

「お、おう」

「……三機目のドムは?」

「だ か ら わ た し で す 」
 できない夫の発言に空気が完全に凍りついた、次元ですら整備していた愛銃の部品を取り落しかけたほどである。

 皆のあんまりといえばあんまりな態度にできない夫は少々戸惑いを見せる。
「あ、あれ? みんなどうしたのさ。この編成でいくつもりなんだけど……」

 真っ先に膠着から復帰したのはカレンであった。
「いやいやいや! いつものポジションはどうしちゃったのよ。
 アンタはいつもそこに座って私らに指示を出すのが仕事でしょう!」
 メアリとハクが配属されてからはできない夫は司令室にて指揮に専念することが基本だ、それで“フェイスレス”の強化人間部隊を倒し、更にはオデッサのエース部隊を演習とはいえ撃破しているのだ、

「いやいや、俺はMS小隊長だから本業はMSパイロットよ?
司令室を使えるのはあくまで新城中佐がそれを許してくれているからであって――」
 
「できない夫さん。三機編成で挑むにしても、普段通りの何が問題なのですか?
それでは勝てないのですか?」
 メアリができない夫の言葉を遮るのはめったにあることではない――よほどのことがない限り。そしてメアリは自分がこの部隊に招聘された理由である“よほどの事”を忘れるほど愚かでもない。

「勝てないというより――この打ち筋が一番勝てる公算が高い、最善の策だと判断したんだ」

「ならいいです。私はできない夫さんの意見を全面的に支持します」
メアリは間髪入れずに賛同の意をみせた。深い洞察力を持つ彼女だからこそこれ程に素早く信じたのだろう。
「だって、できない夫さんの隣に立て存在を間近に感じることができるんですもの……」
 ……深い洞察力を持つからこそなのだ、わかったか。

 カレンも付き合いの長さからか、できない夫の固い決意を感じ取り、ため息をついた。
「はぁ………。仕方ない、司令室が一番安全なんだけどね。まあいいか、隊長は私が守るわ」
 できない夫も目を細めて答える。
「あぁ――よろしくな」

「はいはい」
 言葉にせずとも確かな絆がそこにあり――それにむくれる子猫が一匹。

――私の知らない時間の絆で結ばれた、二人のやりとりだ…… 

頬を膨らませたメアリの横にニュッとハクが顔を出した。そのバストは豊満であった。
「おやおや~?どうしたのメアリちゃん?
嫉妬?嫉妬ですか?ジェラってるんですか~」

 にこり、とエンドゲームスタディ最高戦力は覇王鬼帝めいた笑みを浮かべ
「――――――――へぇッ! ――――――――へぇッ!」

「痛い! 痛い!変な八つ当たりはやめでくだしあ」
 むき出しの背中をぺちぺちと叩かれハクは笑って身をひねる、そのヒップも豊満であった。

「――あのね、ハク。嫉妬とかそういうのではないわよ。
そう、これこそが人間の感情の極み。
できない夫さんが一番に頼るのは私じゃない……。そのことは心が痛くなる……。
でもそんな事柄すら愛おしい」
 そしてメアリは唐突に真顔で語りだした。
「エッ?」

「できない夫さんに向ける感情は唯一無二。
 希望よりも熱く、絶望よりも深いもの」

「愛よ」

「ハク。 つまりコレは嫉妬ではないの いいね?」
 メアリのおうごんがんは光った

「アッハイ」
ハクは恐れ入って首肯した。

「よし、わかればいいの。さて……それじゃあ私も出撃準備に入るから
後のことは任せるわ、よろしくねハク? 」

「はい、後はお姉ちゃんに任せない! 」
司令室を出ていくメアリを見送り、ハクはため息をついた。

「まったく……できない夫君の命がかかった戦いだから緊張しているのが見え見えですよーだ」

「お姉ちゃんは大変だな、おい」
 われ関せずと高みの見物を決め込んでいた次元が笑っていった。

「いいの、好きでやってるんだから。ま、あれで少しは解れてくれればいいんだけどねー。
侍女なんてやってればこの位はいつもの事よ」

「ずっと護ってきたってか、ならば――いいか、油断するな
決して目を離すなよ――相手は本物の化け物だ」
 次元は煙草に火をつけ、悼むかのように煙を目で追った。
「護ると決めたのならば、尚更に、な」

「今更よ、私たちは化物の腹の中で戦争してるのよ?
目を離すなんて怖くてできないわ――」
 普段とは異なるシリアスなハクの返答に次元も不敵な笑みを浮かべた。
「違ぇねぇな――幸運を」

「ドーモ、ザクキャノン、借りるわよ」

「おぅ、俺は“エンドゲームスタディ”の神髄を特等席で、眺めさせて頂くぜ」
 一人、司令室に残った次元は再び煙草の煙を吐き出した。
                              1/3



247名無しさん@狐板2015/03/22(日) 19:47:54 ID:Dk+7x0ZQ
 アジア方面軍司令部、マドラス基地。イーサン・ライヤー参謀副長は600を超える将兵たちを相手に訓示を行っている最中であった。
そしてこれはプロパガンダ映像として再利用されるだろう。作戦成功の暁には。
「諸君!君達は今、地球連邦の栄えある陸軍は今まで長い苦渋の時を堪え忍んできた!我々は転進を重ね、遂には欧州を明け渡してしまった!
だが我々は誰一人としてこの戦争を負けたと考える者はいない!確かに我々は大きな敗北を喫した。先の戦闘では我らはベルファストにおける戦いに敗北した。だが、我らにはなお広大な領土も、勇士達も、またもちろん資金も残っている。また、我らには膨大な資源を有し、巨大な生産力もある。我々はこれまでの戦いを600隻の宇宙艦隊と10,000輌の戦車で戦ってきた。だが堪え忍びつづければ、今度は1,800隻の宇宙艦隊と30,000輌の戦車で、我らは勝利を手中に収める事が出来るのである!」
 ライヤーは誇らしそうに巨人達に視線を送る。
「――そして!我らはその軍集団に新たな機甲兵器を加える時が訪れたのだ。
諸君らは連邦陸軍の新たな一歩を記す者達となるだろう」
 
「ついに我々は反撃の狼煙を上げる時が来たのだ」
ライヤー大佐は厳かに告げた。
「我々は新たな段階へと進む、勝利のために」

 歓声を上げ、将兵達は次々とミデア輸送機に乗り込み、飛び立っていく。
 ――陸戦型の連邦製MSと共に
「彼らが迎える相手は欧州から敵に執拗な追撃を受けていると聞いておりますが」
 彼らと同じくMSが優先配備されている機械化混成大隊の大隊長であるコジマ中佐が言った。
「だからこそ、彼らを向かわせたのだよ」

「場合によっては彼らに戦い、血を流してもらう必要があるだろう」

「――ジオンのエース部隊にですかな?」
 コジマ中佐の静かな問いかけにライヤー参謀副長は眉ひとつ動かさずに答える。
「うむ、精々が増強小隊規模だと報告を受けている、彼らならば成し遂げてくれるだろう。
我々がここで成果を上げる事は陸軍全体の為にもなるのだよ」
 ライヤーはにこやかな表情を崩さずに算盤をはじく、プロトガンダムとそのデータの確保は勿論の事、上手くすればMS部隊が行う集団戦のデータをさらに得る事が出来る、対エース部隊であればその価値はさらに跳ね上がる。ゴップ大将と交渉するにしてもそうした成果があれば――

「無駄にはならない、彼らの戦いはけして――」




「えっ!じゃあ、あと少しだけ進めばマドラスの人たちが迎えに来てくれるの!? 」

「あぁ、そうだね。ここさえ乗り切れれば、ジオンの連中も下手な手出しはできなくなる。
もう少しの辛抱だよ」
 既にプロトガンダムを積んだ陸上戦艦ビッグトレーは、占領の騒動で混乱している欧州を抜け、中東の砂漠と荒野を駆けている。アジア方面軍の防衛線もそう遠くはない。
「――長かったね、辛い事ばかりじゃなかったけど」

「うん! 一時はお塩がなくなったりして塩湖を探したり、軍を脱走したジオンの軍人さんのことを匿ったり色々あったよね」
 インデックスの言葉にレックスもクスリと笑っていった。
「あぁ、あったね。インデックスが拗ねてガンダムと一緒に逃げ出しそうになったりとか……」

「うぅ……あれはレックスたちが悪いんだよ!
こんな幼気な少女をガンダムなんて兵器に乗せて戦わせたりするからグレるのも無理ないんだよ」
 むくれた少女にレックスは笑いながら答えた。
「うん……ごめん。だけど、それも もうお終いだ。
あと少しでキミはもう戦わなくてよくなる……」

「そうすれば、キミはまた以前のように明るく元気なシスターさんに戻れる。
そうなれるようにしてみせる。だから、約束しよう。必ずキミを無事にマドラスまで送るって」
「ありがとうレックス!私も早く神父様を見つけたいし よろしくお願いするんだよ!」
無邪気に頷いたインデックスにレックスはまぶしい物を見たかのように目を細める、

「あぁ、一緒に探そう。そしてまたキミの説法を聞かせてくれないかな? 小さなシスターさん」
レックスは密かに決意を固める。
何があろうと――必ず彼女を守らなければない――そう、何があっても。
レックスはブリッジの戦略地図を眺める、今から向かうのが文字通り最後の難所、中東前線の突破だ。
 今まで相手にしてきたのは追撃専任のエース部隊のみ、なぜなら欧州はジオンの実効支配がまだ完全ではなく、分散した占領用の部隊では支援が困難だからだ。だが中米と並びジオン重力戦線の最前線である中東を突破する以上、オデッサ方面軍の主力を相手にする可能性すら――
 レックス達は当然可能な限り主攻正面を迂回しているが――おそらく後一度は、攻めてくる、それも相当の規模で、逆に言えば、それさえ乗り切れれば――
 ブガー!ブガー!ブガー!
「警報!!また敵!」
レックスの思考を遮るかのように聞きなれたブザーが響く。
「――――ッ!! 最後の最後だっていうのに!!総員戦闘配置につけ!!
インデックス、辛いだろうがコレが最後の――――」
 レックスが痛ましげに視線を送った先には――
「―――くるのね。暖かい光の人」
インデックスのような“感覚”がないレックスでもわかる程に “変わった” インデックスがいた

「イン……デックス?」

「任務了解しました。目標、眼前敵の沈黙命令を確認しました。配置につきます」
まるで戦闘AIのような口調と機械めいた歩調でインデックスはMS格納庫へと向かう。

「インデックス!!くそ、いったいどうしたっていうんだ……今のあの娘は何か普通じゃなかった――」
 レックスの逡巡を察したのか彼と共に脱出したベルファストの兵士たちが威勢よく声を上げた。
「隊長!ここは俺達で支えます!だから隊長はあの娘の後を追いかけてやって下さい!」

「そ、そうですよ。どうせ戦いが始まったらこんなデカブツには弾幕を張る以外にやることないんですから隊長の指示なしでも何とかやってみせますよ!」

 部下たちの言葉にレックスは首を横に振る。
「バカを言うなお前ら……指揮官が司令室からいなくなるなんてそんなことあってはならないだろ」

「確かに……確かにその通りです。しかし、その司令室が今も健在なのはあの娘が必死に戦ってくれたからなんですよ」

「隊長。マドラスもうあと少しなんです。ならば、あの娘が助かるようにしてやるのが、 俺達大人の……軍人の勤めなんじゃないんですかね? 」
 ――そう、マドラスも近い。トレーの様な大型陸戦艇では通れない渓谷を利用すれば猶更に――救援部隊も動いている。ならば――

「お前たち…………」
レックスは自分の部下たちが何を言っているのか理解していた。彼がここで頷いたらもう二度とこの司令室に足を踏み入れる事はないだろう。
 だが――それでも彼らの“具申”を検討してしまっている。ここは戦場で、彼は将校であった。そして時間は公正に誰の手からも猶予を奪っていく。
 レックスは決断した。
「分かった!俺はスナイパー機でインデックスの支援に回る!
お前たちは俺達が敵を片付けるまでいつもの相手をあしらっていてくれ 」

「了解です隊長!」

「ご武運を!」

 そしてレックスは1機のMSに乗りビッグトレーを去って行った。
                                    2/3



248名無しさん@狐板2015/03/22(日) 19:50:03 ID:Dk+7x0ZQ
 ガウMS格納庫にはドムが三機とザクキャノンが一機、収容されている。
そのうちの一機は白と赤に塗られている。そしてその一際目立つMSを赤毛の美女が眺めている。
「パーソナルカラー、か。なんで私に――」
メアリはMS整備の担当者と打ち合わせをしている、小隊員の中では彼女が一番機械に強いのだ。

「ベルファストの鹵獲ザクも出てくる可能性がある?シミュレート……再計測しなくちゃ…………」
 ふらふらと計測担当者が電算室に向かっていく
「だからこっちから出せるマゼラ部隊の物資はそっちのファットアンクルに積んだっていっただろ!どのみち合流はできないんだ、後はそっちでやりくりしろと伝えておけ!」
 管理担当が通信機越しに怒鳴りつけ

「マシンガンの試作弾テスト結果はどうなった?」

「もう整備データに反映させてます!」

「おいおい、できない夫が出るだって?そりゃあ気合い入れなっきゃな」
整備班は誰もが激務に投入されている。

「……聞ける状況じゃないわね」
 カレンはため息をつくと彼女の隊長が近寄ってきた。

「お、カレン。どうしたんだい、そんな所で?」
 
「いやちょっと考え事……ねぇ、前も聞いたけど、なんで私なの?
パーソナルカラーはトップエースのメアリの担当分野でしょ?」
 エースの象徴であるパーソナルカラー。しかも、できない夫の同期である赤い彗星と同じ“赤”を指揮官でもトップエースでもない自分に与えたのだ、よりにもよって自分とできない夫が掛け替えのない仲間を失った相手と再戦する直前に。

「何を言っているんだい。この部隊初のパーソナルカラーはカレンに決まっているだろ?
それにコレにもちゃんと意味があるんだぜ、ポーンがクイーンになる秘策が! 」
そういってできない夫はにこりと笑った。以前とは異なる頼もしさを感じさせる笑いだった。

「あぁ……あの話か。まさか本当にするとは……っていうか、秘策って何よ? 」
 以前、ほんの漏らしてしまった弱音だ、それを覚えて、真剣に考え続けてくれたのだ。
そういう指揮官なのだ、この白いのは。

「それは終わってから教えるよ、だから――楽しみにしててくれ」
 できない夫は不敵に笑い、久々の1番機に向かって悠然と歩いて行った


システム管理者権限コード入力――承認
ブゥーン……低い電子音が響き、End Game Study の文字がHUDに浮かび、消える。
ガウ司令室とのデーターリンク――完了、僚機とのシステムリンク――完了
――状況把握終了、支援部隊との直通回線確立。
僚機の機体状況が、作戦状況図が表示され、支援部隊との通信チャンネルが解放される。
このシステムが提供する情報量は明らかに通常の指揮官機のそれをはるかに超えている。
個々のエース級パイロットたちをエンドゲームスタディというエース部隊へと昇華させる指揮官の為につくられたこのシステムこそがこの機体をエンドゲームスタディ専用機たらしめる筈だ。この戦いでそれが証明されるだろう。

できない夫は淡々と初の実戦とは思えぬ手際でシステムの微調整を終え、それとほぼ同時に呼出音がなった、ガウの司令室からだ。

『管制室よりMS部隊へ、間もなく予定本機はこれより減速を開始します。
各機、降下の準備をしてください』
 梓伍長はそっとこれまで以上の誠実さで一言付け加えた。
『みなさん、無事に戻ってきてくださいね』

『5』
 いつの間にか格納庫に姿を現した次元がひらひらと帽子を振って見送ってくれている。
『4』
 ハクが弾数の再確認をしている声が聞こえる。
『3』
 カレンが深く、ゆっくりと呼吸をする音が聞こえた。
『2』
 メアリはいつもの通り、静かに時を待っている。
『1』
 できない夫はゆっくりと堅めのペダルを踏み込んだ。
『ポイント到達、降下開始してください』

そして4機の鷲が舞い降りた。

#1終わり #2へ続く
                                   3/3

以上です、#2 #3は来週末頃を目途に作成中であります。


249名無しさん@狐板2015/03/22(日) 19:50:41 ID:Dk+7x0ZQ
ふぅ~

なんで戦闘前に8000字超えてるんだ?(真顔)


250太眉 ◆BSVL8zPtdg2015/03/22(日) 20:25:13 ID:uZB6E3KG
やだ……かっこいい。
私の描写不足を補い保管していただいた箇所が特にカッコイイ
そこが一番かっこいいとかどういうこや工藤!

以前頂いた作品もそうなんですが
何気ない一言が凄いわたしのツボを刺激してくる!!

こんなに良い物を頂けて本当にありがとうございます


251名無しさん@狐板2015/03/23(月) 17:04:02 ID:7KDLE2Fu
おう……実際どっちが主人公なのか分からなくなるな…
後連邦の物量がおかしいけど、正しいのがなんとも…
軍事全開時代のアメちゃんだって10ヶ月で戦前の3倍の戦力整えられねーよ…


252名無しさん@狐板2015/03/23(月) 22:35:25 ID:2Pt+rrV2
文章もいいですねぇ
思わずドムのプラモデル買いに走りました
これでカレン専用機をウヒヒヒヒ


関連記事
スポンサーサイト
[タグ未指定]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://yaruowohiroiyomi.blog.fc2.com/tb.php/2526-6106e6bb