できない夫は一年戦争を駆け抜けるようです 支援 モグラ達の戦争 (支援SS ゴップ編)

2112隔壁内の名無しさん2014/10/26(日) 20:33:40.71 ID:pBdxGot5
ありがとうございますです。

ジャブローでゴップおじさんが駄弁るだけの支援になるかもあやすぃSSは
今回の誤字を修正した支援SSカイゼンと同時に貼りたいです。


2223隔壁内の名無しさん2014/11/22(土) 19:16:30.13 ID:myLXFcsD
あ、そうだ(唐突)

月曜の夜辺りに駄文書きがなんかするやもしれません


2224太眉 ◆BSVL8zPtdg2014/11/22(土) 19:19:14.50 ID:K8UIFVjT
ゴップさんのお話がついに見れるんですかやったー!!
全裸で待機して爆発の準備してお待ちしています!


2225隔壁内の名無しさん2014/11/22(土) 19:26:19.72 ID:myLXFcsD
あとドム・バズーカなんてなかった版も出します(震え声)


2227隔壁内の名無しさん2014/11/22(土) 19:49:46.32 ID:DJwfHuF6
>>2225
それよりもグフ重装型のほうが黒歴史だと思うのですがそれは


2228隔壁内の名無しさん2014/11/22(土) 20:03:35.94 ID:+nLiY/gb
ヘッズならば誤字修正だけじゃなく更に書籍版めいて加筆してくれる可能性も?


2229隔壁内の名無しさん2014/11/22(土) 20:39:41.01 ID:myLXFcsD
>>2227
(前回ジャイアントバスを誤字ってたんです)


>>2228
ウエハース(忍殺語でよせの意)



2244太眉 ◆BSVL8zPtdg2014/11/24(月) 18:42:04.39 ID:CUX4fjxp
ミッタマイヤー……はよ……はよ……(催促していくスタイル


2245隔壁内の名無しさん2014/11/24(月) 18:44:05.38 ID:KEt507Kl
 七時頃な!


2246隔壁内の名無しさん2014/11/24(月) 19:00:00.88 ID:KEt507Kl
三次創作です◆二本同時投稿、これは実際安い!◆安かろう悪かろう

ゴップさんが駄弁るだけ
ttp://yaruoshelter.saber.jp/test/read.cgi/yaruo001/1414249876/224-225

90名無しさん@狐板2014/11/24(月) 20:21:35 ID:oaw0/qQz
ヒヤリ・ハット◆この駄文はあくまで妄想めいた三次創作であり一年戦争スレの設定に関わるものではありません◆指差し確認な



できない夫は一年戦争を駆け抜けるようです異伝 モグラ達の戦争


地球連邦軍参謀本部――陸・海・空 そして宇宙の四軍を統括する地球連邦の軍令機関であり、事実上、戦時における首都となったジャブローの中枢を担う一角でもある、
 地球圏全域に配備された四軍を統括するだけあり、将官の数だけでも0078年時のジオン公国全軍を凌ぐ膨大な官僚組織である。そうした軍高官達が持つ専用執務室、その中の一つに彼はいた。
 軍政畑を耕す鍬の中でも最も堅く、古い鍬の一つであり、腐敗の噂にも事欠かず、一週間戦争以後は南米大陸から一歩も外に出ていない通称『ジャブローのモグラ』ことゴップ大将は、優雅に紅茶を口に含みながら良質な紙に記された書類を眺めている。
 彼は参謀本部最高幕僚会議の一員であり、国防総省にも籍を置いている。おそらくは“英雄”であるレビル将軍よりもこの戦争を把握しているのかもしれない。
「パウルス君も無能ではない筈だが、ジオンの者たちも重力に馴染むのが存外に早いものだな」
 だがそのような肩書から感じるような軍人めいたものはこの男には感じられず、どこぞの田舎の名士の如き呑気さと育ちの良さだけが全身から発散されていた。
「――いよいよもって不味いですね、ベルファストが落ちたということは欧州までも丸ごとジオンの手に落ちたという事です。ユーラシアの西半分が宇宙人の手に落ち、北米大陸とオデッサの連絡線が確保されたこととなります」
 副官飾緒を垂らした女性将校が苦い顔をして言った。
「オオサカが無事なら宇宙人は何とかなるさ、スピルバークだってそう言っていただろう?」
 だがゴップは肩を震わせながら笑う。

「閣下は冗談がお好きなようですが、このままでは士気崩壊(モラルブレイク)が起きるやもしれません」
  呆れたようにため息をつき、秘書官は言った。

「兵站は良好とはいえぬかもしれんが、軍組織の維持に支障が出るほどではない。陸軍のアジア方面軍は戦時体制への改組を完了しなおも増強が進んでいる、なんのなんの軍とはそれほど脆弱なものではないさ。それが良いことかはわからぬが、レビルが南極会議を叩き潰し、戦場の膠着と重力戦線が作られたことで我々の勝利は決まったようなものなのだよ」

「御言葉ですが、欧州が落ちたことでオデッサに対する反攻の拠点がペキン、マドラスといった東部方面に限定されたことは多大な影響が予想されます」

「ふむ」
 ゴップは面白そうに秘書官に続きを促した。
「北米のガルマ・ザビが昇進し、名実共にジオン重力戦線の首魁となったからもこれから更に地上軍が増強されることを示しています。
北米の部隊が西進を始めたらジャブローが孤立しかねません」

「精々あの坊やの下でダラダラ戦争をやらせていればいいさ、この戦争の焦点は宇宙だ。
結局はコロニーをいかに突くか、制宙権を取り戻すかが肝要なのだよ。
ベルファストが痛手だったのは事実だが地上軍は当面は消耗を抑えて現戦線を維持することに専念すればいい」

「ワイアット閣下も艦隊再建を最優先にすべきだとおっしゃっておりましたね」
 ワイアット中将は海軍から宇宙軍に転属した男である。だが典型的な地上で栄達するために船に乗った男と言われており、現場からの評判はエリートにしてはマシ、といった程度のものであった。
「ワイアット君も言動はオモシロ白人だがアレで目端は利く男だよ、レビルはどう考えているのか知らぬが、ビンソン計画の方を優先したいと考えていたのは私も同じだ――が陸にも梃入れが必要だな」

「閣下はV作戦に賛成なさっていましたが、ビンソン計画の方に重きを置いていたのですか?」

「MSとて所詮は艦載機だ、艦隊なくして宇宙軍なし、だ。ルナ2の保持に専念するとしてもMSパイロットは要塞に駐留する航宙機部隊から転科すればいいが、遠征に出る艦隊は訓練する期間が必要だろう。艦隊の壊滅で一番痛いのは熟練兵たちの喪失だよ」
 宇宙軍出身だけあり大いに実感のこもった言葉である。
「地球降下作戦後の進行速度が予想以上だった為に再建が遅れていると」

「その通りだ。既存の兵器を改修して建て直す事も視野に入れていたのだがな。
実際デプロックは相当な戦果を挙げている、航空機を利用し守勢に徹すればとおもっていたのだが――まぁ現状で戦線を伸ばしてくれているのはありがたい。反攻までの期間が早まっているのかもしれんな」

「早まる、ですか」

「ジオン軍は、軍を支える最も重要かつ、けして補えない資源が払底しつつある、何かわかるかね?」
 上官の問いかけに秘書官は思考を巡らせる。
「資源――現在までの占領地で軍需資源はおおむね確保できるものとおもっていましたが」

「資源採掘、運搬、部隊の展開、維持、そのすべてに必要なのは人手、人的資源だ。
レビルも言っていただろう?“ジオンに兵なし”
これこそ、ジオンが決して補うことのできない弱点だ。だからこそ、重力戦線などという物を作り出した時点でジオンの敗けはきまったのだよ」

「ですが、現在では連中、破竹の勢いで勝ち進んでおります」

「まさしく電撃戦の鑑だよ、見ていて飽きないくらいだ。あぁいや、楽しむようなものでもないがね、精兵をもっての突破に蹂躙、いささかの憧れは抱くよ、私も軍人の端くれなのだよ――だが、問題はその後だ」

「――成程、占領地ですか」

「うむ、これを抱えるほどに地上軍はどうしても人員を増やさねばならない。
なにしろもともとは我らの国土だ、占領地で遊ぶ事ができる連中は幾らでもいる。MSという抑止力があろうと兵站路を保持するには歩兵をおかねばどうにもならん。だがそうなると軍というものはどうしようもなく膨れ上がっていく。戦線を拡大し続けるのならばなおさらに」
 ユーラシア大陸の西半分を、世界最大の国家を併合した北米大陸を朱に染めた地図を眺める、それは凱歌を歌う征服者の帝国か、はたまた血反吐をはいて走り回る窮鼠の足跡か。
それは後世の歴史家にしかわからないだろう。
「どこからその人手をもってくるかとなれば本土からの徴兵と宇宙軍からの転属しかない、と」

「そういう事だ――“ジオンに兵なし”レビルも余計なことをしてくれたが、こればかりは真実だ」

「余計なこと――」

「君の気持もわかるがね、南極会談から総力戦にまで持ち込んだのは失策だと私は思う、我らにとっても、彼らにとってもな。おかげでこちらは限定戦争と民生基盤の復興後の仮想敵国の出現による軍備増強が期待できたのだが、おかげさまでこのありさまだ」

「ジオンもジオンで連邦側が限定戦争の枠組みのうちに致命的な一撃を与えることに失敗した以上、一時的な大勝のうちに講和を行うしかなかった。
だがその戦略は既に破綻している。もうこの戦争は誰も止められない、ワイアット君ではないが、ウィンストン・チャーチルの言葉を思い出すよ。
“やがて、それぞれの国々は大規模で、限界のない、一度発動されたら制御不能となるような破壊の為のシステムを産み出すことになる。
人類は、初めて自分たちを絶滅させることが出来る道具を手に入れた。
これこそが、人類の栄光と苦労の全てが最後に到達した運命である。”
なんとも素晴らしく的を射ているじゃないか、もう何億死んだ?異常だよ、戦争という概念にあてはまるのかね」

「核を砲弾代わりに撃ち込んでくるのですからね、あの宇宙人共、気がくるっている」
 吐き捨てるように言う女将校にゴップは無表情に頭を振った。
「なんにせよ、ジオンの重力戦線の拡大は良くも悪くも予想以上だ。
キャリフォルニアベースでさえ痛手だったのにベルファストまでとなるとこれ以上の戦線縮小は議会対策だけでなく生産力の面でも辛いものがあるのも事実だがね、艦隊の再建が遅れるのはまずい」
 逆に言えば地上軍の債権と並行して行えるということだ、ジオン軍上層部が聞けば憤死しかねないほどの贅沢である。
「ベルファストは海の守り、オデッサはマドラスにペキンを睨み付けることに専念できるのだから戦線にもなります、ジオンはこのままジャブロー攻略に向かうのでしょうか?」
 ゴップは鼻で笑って見せた。
「そうなったらライヤー君達にもう一度気張ってもらうことになるだろうな。
それに降下用の部隊を叩くためにレビルにももう一度艦隊決戦に勤しんでもらう必要がある。互いに準備が整っているとは言えんが、ジャブローの守りだけは万全だ。またコロニーを落とすとでも言わない限りはまずありえんよ」

「コロニーを……」
 一瞬ではあるが隠し切れない不安を秘書官が見せる、地球連邦市民たちにとってはそれほどのトラウマなのだ。コロニーの住人も、地球の住民も殺しすぎたのだ。
「その為にも艦隊再建が急務なのだが……陸軍も相当苦しくなってきたようだな、ライヤー君が私にアポをとるくらいだ。まったく戦争なぞするものではないという事だよ、君」


【できない夫は一年戦争を駆け抜けるようです】1/3



91名無しさん@狐板2014/11/24(月) 20:24:43 ID:oaw0/qQz

 柔らかな香気が漂う紅茶のポットが丁重にゴップの執務机に置かれる、その横には角砂糖が丁寧に盛られた皿が置いてある。陳情や交渉事に入る前に欠かさずに何かしら砂糖を入れた飲み物を飲むのがゴップの習慣であった。
「砂糖は四つ入れてくれたまえ」

「二つで十分ですわ」
 その言葉を無視して二つだけ入れて丁寧にとかし、ゴップの前にティーカップを置く。
「これから厄介な客人とやり合わなければいかんのだよ、分ってくれ」
 悲しげな声を出すが秘書官は見向きもしない、この糖分制限はゴップ夫人と軍医というゴップ自身よりも上級の権限を持った者たちが後ろ盾として推進している悪法であり、ゴップの政治的才覚を持ってしても万策尽き果てている。

 寂しげに紅茶を飲みながら秘書官を試すように尋ねる。
「イーサン・ライヤー大佐についてどれ程知っているかね?」

「アジア方面軍司令部参謀副長。陸軍の出世街道を歩んでいるエリート組。
オデッサ奪還作戦の立案者であり、同時に中止を判断した男。
特筆すべきことといえば尉官時代に平和維持活動に志願し実戦を経験しているくらいでしょうか」

「――くらい、というべきかどうかは分らんがね。彼を侮るべきではないよ、敵として味方としても。
あの胆力はそうそうあるものではない」
 静かに紅茶を飲み干し、目をつむる。
「――さて、そろそろかな?」

 最新鋭の通信機が通知音を鳴らした。

「マドラス基地のライヤー参謀副長殿から連絡が入りました。しばらくお待ちください」
 秘書官が素早くキーワードをタイプする、ゴップが生体認証装置に手をかざすことでようやく回線が開くのである。高級士官同士が使用する通信回線のもつ複雑な認証システムである。
『――お久しぶりです、閣下』
 ミノフスキー粒子の影響か、暗号化プロセスの為か、やや粗い画質に反していかにも紳士然とした男が現れた。この宇宙世紀というよりもヴィクトリア朝のインド帝国軍人を思い起こさせるものがあるな、とゴップは考えた。

「久しぶりだね、ライヤー君。君も壮健なようでなによりだ」
 戦時であるため、マドラス基地を最大拠点とした統合軍に改組されたアジア方面軍、その中枢に配属されているが、ライヤー大佐は延々と陸軍畑を耕してきた男である。
 士官学校、大学校の成績も優秀で遠からずジャブローに配属され、そして将官への席に手をかけるだろう、とゴップも高く評価していた。

 だが彼が立案した反攻作戦がジオンのベルファスト攻略作戦の早期終結により頓挫した事から、遠からず詰め腹を切らされるのでは、と噂されている。
 そうした噂を感じさせぬ泰然とした佇まいからただのキャリア軍人ではないことがうかがえる。
『御報告した通り、ベルファストから脱出した例の試験部隊はこちらの指導下にあります』
粗い画像越しでもわかる鋭い眼光が穏やかな紳士然とした風体を軍人のそれへと変えている。
『パウルス閣下と欧州方面軍に代わり、我々の管轄としてよろしいでしょうな――ザザッ』
 映像が再び揺らぐ、ベルファスト防衛戦時よりは遥かに良好だが、それでもなお通信インフラはこの程度にまで落ち込んでしまっている。
「構わんよ、君たちの責務において輸送作戦を行っているのだから当然だろう――それに、ジオンが動くとすれば、ルナ2かハワイ。そしてマドラスだ。
どうであれ君たちはジオンが動けばオデッサを扼してもらわねばならない。
手に入れたなら好きに使ってくれても構わんよ、あくまでマドラス主導の実戦テストだからレポートは挙げて貰わなければならんがね。」

『ありが――ザザッ 失礼、少々通信状況が悪化しているようです。
彼らの救援作戦の為にも更なる戦力の増強が必要です。我々に積極的な行動を行う余裕はありません』

「おや、オデッサ奪還作戦の立案者とは思えない言葉だな」
 揶揄するような言葉にも動じずにレイヤーは淡々と返答する
『はい、閣下。あの作戦はオデッサ軍が西進を始めたからこ―ザザッ可能であった戦略的奇襲作戦です。現在の戦況で行えるものではありません』

「成程、陸軍増強の前倒しについては検討しておこう」

『ベルファストの戦訓を活かす為にも予定よりも更なる機械化が――ザザッ です。 個々の操縦技能においてはジオ――ザザッ 優っております。
強力な火力支援とMSの集中運用が――ザザッ  早期に取り掛かるに越したことは――ザザッ』
 ノイズがより一層ひどくなっている。
「聞こえるかね?ライヤー君」

『申し訳あり――ザザッ おそらく戦闘がどこかで――ザザッ』
 戦線が統一された以上、小競り合いが起きるのは当然である。ジオンも戦闘を想定してミノフスキー粒子をより濃度を高く散布しているのだろう。
「分かった、君は現地の任務に集中したまえ、必要ならば後は文書データーで送る」

『――ザザッ の件についての――デギンッ をよろしくお願い――ザビッ それではこれ――ザザッます』
 聞こえたのかどうかも分からないまま、揺らめき、吹き荒れるノイズ越しに敬礼をかわして彼らの通信は打ち切られた。


【できない夫は一年戦争を駆け抜けるようです】2/3




92名無しさん@狐板2014/11/24(月) 20:24:58 ID:oaw0/qQz
「うぅむ――レイヤー君が私にまで泣きつくとは、いよいよもって陸軍への本格的な梃入れが必要だろうな」
来客用ソファーに身を沈めて初老の軍政屋は嘆息する。その腹は豊満であった。
 ゴップは宇宙軍出身である、レイヤーとて無暗に敵を作るような愚者ではないが、かといって予算を取り合う相手に借りを作るような男ではない。それでもなお必要だと判断したのだ。

「相当な危機感を感じているという事でしょうか」

「彼自身の立場も含めてだな。あれほどの大規模な作戦が中止になったのだから、彼も何らかの成果を出さないと左遷されかねないという事も大いに影響しているだろう。
――それ以上にベルファスト陥落の衝撃が大きいのだろうが、マドラスは海軍根拠地でもあるからな、ベルファストのやり口が通用しかねん」

「中東も占領されていますからやろうと思えばやれますね。降下作戦と併せれば――」
 
 現在の陸軍戦力はコロニー落とし前と同等かそれ以上だ。だが、MSという兵器の運用法を確立するにはまだ時が要る、今本格的な戦闘となったら――

「極東方面軍との連携が肝になるな。いや、それはそれでミノフスキー粒子か――」
 ゴップは再び豊満な腹を揺らしてため息をついた
「・・・・・・地上は当面、宇宙軍に配備する汎用MSの運用テストと既存兵器の改修再編だけでとおもったが、レビルの言うとおりになってしまったな。
何か考えないといかん、いやはや総力戦とは面倒に過ぎる」

「ジオンの重力戦線の動きに今しばらくは神経をとがらせる必要がありますね。どう動くかで連中の戦略も見えてきます」

「北米方面軍のガルマ・ザビが正式に重力戦線の総司令官となったのだったな」

「はい、そしてガルマ・ザビはサイド3からの補給を可能な限り削減し、占領地内だけである程度、兵站が完結できるように兵站の再編を進めているようです。あれで行政官としては優秀なのでしょう」
 ゴップも頷いて見せた。コロニー落としの影響が比較的薄い大西洋に面した地域を占領したのならばそれも可能ではあるだろう。

「ベルファストを占領している指揮官はキシリア・ザビの腹心です。キャリフォルニアベースもキシリア・ザビが部隊を増強していることを情報部が感知しています」
 キシリアの名前を聞き、ゴップは薄く笑みを浮かべて見せる。
「キシリア・ザビか。サスロ・ザビの件といい、彼女の動きを捉えておけば面白いことがわかりそうだな。君があちらに行った後は彼女を見ておくといい」

「はい、閣下。ですがあれの周辺を探るのには相当の困難が予想されます。ジオンの情報機関はほぼあの女狐の子飼いですから」

「無理はしなくていいさ。オシントだけでも存外にどうとでもなるものだ」

「はぁ――」
 ちなみにオシントとは合法的に公開されている情報を収集し、分析することである。私は諜報活動に詳しくあなたがたに知識を授けてやった格好だ

「いいかね、我々が苦しいのは事実だがジオンはさらに悲惨だ。熟練兵が少ないから航宙兵器であったMSの汎用性で重力戦線を支えているのだからな。
なるほど短期間の改装で航宙兵器から陸戦兵器にも海戦兵器にも、その両方にもなる。MSというものは恐ろしい兵器だよ。だがそれを動かすのは人間だ」

「総力戦という物は人口と技術と生産力をいかに適切にぶつけ合うかという物である以上、ジオンは二度目のコロニー落としを試みず、重力戦線を作り出した時点で大勝の目は消えてなくなったのだ。
サイド3が生存しようというのならばどこで和平を結ぶか見極めることが重要だ。だからこそ、キシリア・ザビの動きを眺めてみるのもいい」

「サイド3が生き延びようとするのならばどこで和平を結ぶしかない。
だが、ギレン・ザビが勝利を得ようというのならばまた違ってくる、独立を達成したとしても戦争が終われば国民の間に不満が溜まり、体制が揺らぐ――そういう事ですね?」
 秘書官の言葉にゴップも頷いて見せた。

「さらに言えばそうなればジオニックを中心とした企業共も唯々諾々と沈みかけた船に乗りはせんよ。独裁というものはままならぬものさ、毅然と立って剣を構えているように見えても足元も自分が掲げる剣もいざこちらが不利になればたちまち崩れ落ちてしまう。ギレン・ザビの才覚は疑わないが、だからこそどこまであの体制をもたせられるか、興味が尽きないよ」

「そしてキシリア・ザビがその対抗馬になると?」

「奴はドズル・ザビと違って性根は政治屋だ。戦後を考えていてもおかしくはないと思う」

「――そう、結局のところ、この始末に負えない戦争をどう終わらせるかが肝だ。
総力戦の結果は常に悲惨だ、とりわけ独裁国家に対しては。
ザビ家の支配はもう続かんよ、取り巻きはとびきりの理想狂いだけになる。
サイド3は悲惨なことになるだろうし、その恨みつらみはザビ家にむかうだろう。それは目に見えている」
 まるで既に戦争が終わっているかのような口調で語る眼前の男に秘書官はかすれた声で尋ねた。

「ジオンは――サイド3はどうするおつもりですか?」

「私としては何かしらの形で首輪を付けたうえでサイド3は独立させたい。もうあんなコロニーを誰も統治したがらんよ」
 厚ぼったい瞼の隙間から冷徹な視線が向けられる。
「それに、だ。君は気に食わんかもしれんが、
ある程度巨大な仮想的がないと、この膨張しきった地球連邦軍は存続できないのだよ――アリス・ミラー少佐」

【できない夫は一年戦争を駆け抜けるようです】3/3



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